Last Updated 2018-06-22

HOME > NewsRelease > リスト:巡礼の年・第3年(S.163)・全曲:小倉絵里子

2012年2月





全国のCDショップ、Amazonや各オンラインショップにてお買い求め下さい、



Franz Liszt:Années de pèlerinage. Troisième Année (S.163) - Eriko Ogura





















2012年2月14日発売

リスト:「巡礼の年(巡礼の年報)・第3年(S.163)」全曲
小倉絵里子

DPIC-0003 JAN:4562353370026  国内定価2000円





誕生・運命・敬愛・そして、惜別と死。避けられぬ「人の定め」を綴ったリスト渾身の傑作。演奏は、日本とフランスで活動中の小倉絵里子。アーカイヴ・プロジェクト公開当初からプロジェクト参加中の彼女が、「フランス」の異名を持ち、シリーズ三部作中最も解釈が難解とされる最晩年の「第3年」を担当。

 現在は日本で活動中の彼女も2012年の夏に拠点は再びフランスへ、フランツ・リストの精神世界を最も良く表したと言われる傑作を、耽美的で厳格たる響きで表した、日本での第一演奏活動期のクライマックスを飾る彼女渾身の出国第一作。

プログラム

1: アンジェルス!守護天使への祈り (6’03’’)
2: エステ荘の糸杉にI:哀歌 (5’39’’)
3: エステ荘の糸杉にII:哀歌 (8’33’’)
4: エステ荘の噴水 (7’52’’)
5: ものみな涙あり / ハンガリー旋法 (6’54’’)
6: 葬送行進曲 (6’19’’)
7: 心を高めよ (3’08’’)
8: 2つの演奏会用練習曲 1.森の囁き (4’18’’)
9: 2つの演奏会用練習曲 2.小人の踊り(3’23’’)
10: ハンガリー狂詩曲・第2番 S. 244/2 (9’33’’)

試聴はこちらから御試聴頂けます。





リリースノート  ディーピック・エンタテイメント 制作統括プロデューサー 鈴木俊行





 今回、「巡礼の年報」については、F.Listzの生誕200年に併せて日本の若手実力派のアーティストを3人フィーチャーして3つのシリーズを完成させようと考えていた。第1年は桑原怜子が担当し、第2年も男性の若手アーティストで収録をしている最中である。そしてこの第3年、曲についてはこのCDを手に取って下さった各位の方が詳しいと思うのでここでは論じないが、リストの晩年の作品として出版された本作は、生誕、運命、敬愛、死、という、誰もが免れることが出来ない人生の「隣り合わせ」の部分を音楽家の本能で表した作品だと考えている。身近であるが、非常に意義深く、そして難解なテーマである。問題はこの難解なテーマを誰に担わせるべきか?、これが私にとって重要な関心事であった。恐らく人が人らしくあることを音楽で語れる奏者が良い、と考えていたが、その奏者はすぐに思いついた、それが小倉絵里子である。


 実は彼女とこのCDの間には、皆にいつか話そうと思っていたとっておきの話がある。彼女が私のファームに応募してきたときのオーディションの音源(応募直前に開催された演奏会の録音だった)が、必ずしもオーディションに相応しい演奏の音源ではなかったのだ。が、不思議なことに、私は彼女の演奏を一聴してそれをただちに落とそう、とは思わなかったのだ。


 何でもそうなのだが、人間が何かを果たそうとしたとき、体調とか機嫌とか、そういうもので得られる結果が変わるということはよくあることだ、後で判ったことだが、たまたま送られて来た音源がそういうものだったが、長い経験で培われたものというのは決して裏切らないもので、合格させる理由もなかったが、不合格にする理由もなかったわけである。結局落とす理由がないので採用したが、後日彼女の演奏を目の当たりにして、彼女が真に実力を持つ奏者であることを知った訳である。たまたま彼女は「人間が演奏する」というところに、非常に正直な奏者だったのである。


 2012年、日欧で活動する彼女の活動の拠点は再びフランスに移る。折しも「フランス」という異名を持つこの作品を、彼女の日本での最初の活動期のクライマックスに収録することが出来たことは制作者として誇らしく。今改めてそのときの彼女の音源を聴くとこのCDに繋がる運命の悪戯を感じずにはいられない。次の一時帰国の収録が、また楽しみとなった次第である。