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Junk Essay. 弊社社長のクダラナイ雑記

棟梁に学ぶ「多能工」という技量(2) 2008.07.20 

※写真は本文とは関係ありません。こで、コストを制御する上で重要となる「実写」の制作スキームについて、自社の制作を通じて様々な工夫を行いました。その中で見えて来たのが「多能工」という技量を持つということです。

 日本の家作りの基礎であり、その技術を今に伝える大工の棟梁は、一人で多くの技能を備え、様々な技量を持つことで多くの職人に的確な指示と技術を与えることが出来、完成度の高い家を効率よく建てることを可能としています。

 現在の映像制作にもその現場において効率よく作業するために予め決めた構成に沿って撮影を行いますが、このとき、各々で必要な技術毎に専門の技術者を要しています。そこで当社の場合は、人員を「専門化」せずに「総合化」することで、一人一人が多くの技術を習得した「多能工」として機能するようになっています。一見専門性を欠き、品質を保つ上で問題では?と思われましたが、実際には、多くの人員が企画・構成・美術・照明・撮影・編集の技量を持つことで、「次の作業で必要な事柄」や「起こり得る問題」を予測することが出来るようになり、驚くほどの少人数で一定の品質の映像を作ることが出来るようになりました。

 勿論、多くの人員が居なければ作れない映像があることも事実です。さはさりながら従来手法のままでは当社で造る意味と意義がありません。更に誤解を恐れずに申し上げれば、CG全盛の現代においては「撮る」という行為にばかりウエイトを置いているとプロダクションとしてのアイデンティティが揺らいでしまう可能性さえあります。

 実写という手法は制作の「ファーストチョイス」であり、Webでの放映が前提の映像が多い当社の場合、ここに工夫を凝らして「映像を使いたかったけれど、なかなか手が出せない」とお考えの各位に「やってみたい!」と思わせる範疇にコストが収まらないと制作需要そのものが生まれません。

新参のプロダクションは、「Web時代の制作」をどう捉えて、どう造るか?技術以上に「知恵」を問われる立場にあるのです。(了)

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