Last Updated 2018-06-22

Junk Essay. 弊社社長のクダラナイ雑記

歌姫、逝く。 2012.09.30 

社のアーティストが一人、星になった。


 歌手の吉橋祐子。彼女についてはリストにはメンバーとして随分前から登録されていたが、リリース機会を作ることが出来ず収録したまま公開されていない状況が続いていた。ただ、公開していなかったことには少々事由があって、果たして公開したものかどうか、と私自身が悩んでいたからである。書くべきかどうか悩んだが、人は誰もが歳を取り、やがて星になって行く。今後も幾千もの縁がある限り、やがて惜別のときはやってくる。再びやってくるそのときのために、今まで触れられなかったことに触れておくことにする。

 公開中のVTRの収録の半年後に、彼女の病状を聞いた。

 内容はただちにではないが、いづれ、しかもそれはそう遠くない将来にその日は来ることが予見出来る内容であった。さはさりながら、かつて私を励まし、そして多くの家族や仲間をそのようなときに励まし続けた外科医が「例えその先にあるものが絶望であったとしても、家族や仲間は決して希望を失ってはいけない。」と私に諭したことを思い出し、彼女の家族には同じ言葉で励ました。

 が、それが果たして本当に良いことだったのだろうか、そう悩んだ。

 公開にあたっては、既にVは出来ていたものの、公開するべきかどうかで悩んだ。残された者の心情を察すれば、公開しない道もあるのではないかと。が、一度も本人が観ないまま、というのは良くない、公開しようと思ったのは彼女が旅立つ数日前となってしまった。

 果たして公開したこと自体が良かったかどうか、は議論はあるかもしれない、が、納棺された彼女の旅立ちの姿は、激烈な闘病生活など微塵も感じさせない、麗しきパフォーマーの出立ちであった。「我、肉体は朽ちようとも、魂は死なず」、同時にそれは、残された全てのパフォーマーへのメッセージであるようにも思えた。美しく在り続けた彼女のパフォーマンス魂に、合掌。(了)

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